コレクションで選ぶ:ルシアン・コロン
19世紀末から20世紀初頭。ヨーロッパの貴族社会の中でもロシア貴族は独特の位置づけをされていました。もともとヨーロッパの東はずれということもあり、近代化を急いでいたロシアでは、ロマノフ王朝の最期を迎えようとしていました。不安定な社会情勢とは裏腹に貴族社会は爛熟期を迎えていました。文学ではドストエフスキーなど、貴族階級出身者が名作を生み、オーストリアからは多くの音楽家がロシアを訪れていました。そんな時代背景のもとに生まれたのが、サンタ・マリア・ノヴェッラの名作「ルシアン・コロン」です。これは1900年代初頭、ロシアの貴族の特別なオーダーにより調合されたプライベートな香りでした。マスクをベースにビターオレンジ、ベルガモットを調合。パウダリーな甘さの上に広がるシトラスの爽やかさ。メンズライクな定番フレグランスとして以後、サンタ・マリア・ノヴェッラのラインナップで広く使われる香りとなりました。